佐藤利行 越智光夫『胡蝶は夢なのか―知っておきたい中国故事』

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佐藤利行 越智光夫『胡蝶は夢なのか―知っておきたい中国故事』(2021年2月、中央公論新社)です。

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故事成語と言えば、どんなものが思い浮かぶでしょうか。

本書のタイトルである「胡蝶の夢」や「虎の威を借る狐」なんてものは、

国語の授業でならったことがある人がほとんどだと思います。

 

そもそも故事成語ってなに?っていう人はさすがにいませんよね…笑

 

そんな故事成語を、広島大学のお二人の先生が自身の経験を交えながら説明してくれている本になっています。

 

著者の一人、佐藤利行先生は、中国六朝文学がご専門であり、故事成語の説明だけではなく、典拠や著者も詳しく説明してくれているので、とてもわかりやすいです。また、広島大学副学長・理事(2021年5月現在)でもあります。

 

また、もう一人の越智光夫先生は、現在(2021年5月現在)広島大学学長であり、膝関節外科です。なので、医学的な観点からも漢文に言及しています。

 

お二人は大学を運営する立場であり、ところどころにその苦悩が垣間見えます。

特に、コロナなかでの大学運営は大変だったもよう。

しかし、そんな逆境にめげず、ひたむきに立ち向かってきたようです。

 

また、お二人の互いを尊敬し信頼し合っていることが伝わってきます。

本書のなかで「知音」という故事があるのですが、佐藤先生と越智先生の関係性を体現しているような故事で、微笑ましく思いました。

 

そんな二人が現代を生きていくためのヒントとしてきた故事成語が本書に書かれています。

また、教訓から戒めまで、現代の私達にも当てはまるような故事もあり、一度は手にとっても損はないと思います。

 

博学かつ情熱があるこんな先生方に教わることができる広島大学が羨ましい!

コンパクトで読みやすい一冊でした。